校長室の小窓から⑫
「結果」と「プロセス」
体育祭と文化祭は、学校行事の花形と言っても過言ではないでしょう。体育祭では応
援用の巨大なアニメキャラクター(デビルマン)をクラス皆で作り上げたこと、文化祭では私の作った永久ゴマが 2 日間回り続けていたことが、私の高校時代の思い出として残っています。しかし、最も楽しかったことは行事当日より、むしろプロセスでした。
体育祭では友だちとベニヤ板をかついで店から戻ってきたことやペンキに塗れてペイ
ントしたこと。文化祭ではエナメル線や磁石で自作のコイルを作るのに苦労したこと。青春の1ページです。
「結果」と「プロセス」のどちらが大事か? とても難しい質問です。元メジャーリ
ーガーのイチローは、こう言っています。「結果とプロセスは優劣つけられるものではない。結果が大事というのはこの世界で無視してはいけない。野球を続けるのに必要だから。プロセスが必要なのは野球選手としてではなく、人間をつくるうえで必要と思う。」
最近、旅行の楽しみが半減されました。自動車を運転していても、ナビゲーションが
懇切丁寧に案内してくれるのです。「あと 300m で右方向です。」「この信号です。」昔は事前に地図を広げ、ルートを考えたものです。それでも道に迷って、右往左往することがありました。電車で旅をしても、スマートフォンを見ると何番線の何時発の電車に乗ればいいと、案内してくれますから迷うことはありません。電車の遅延もリアルタイムでわかります。昔は時刻表を見ながら、赤鉛筆で印を入れたものです。旅行当日はダイヤ改正が行われて、思い通りにならないこともありました。私にとって、地図や時刻表を見ることが楽しみの一つでした。
10 月には修学旅行があります。目的を定め、情報を収集し、
計画を立案する、こうしたプロセスを経て、修学と呼ぶに相応
しい旅行になるのです。中学3年生と高校2年生の皆さんは、
物見遊山の旅行に終わらないよう、事前学習や仲間との話し合
いなど、有意義なプロセスを経てください。
右往左往したり、思い通りにならなかったり、そんな旅ばか
りが楽しく思い出されます。それは旅に限ったことではないの
だと思います。
令和7年 9 月 22 日(月) 金光八尾中学校高等学校 校長 松井 祥一