校長室の小窓から⑰
「インプットとアウトプット」
来週から期末テストが始まります。定期考査は学習の達成度を測る重要な指標です。結果が良かった、悪かったと一喜一憂するのではなく、日々の学習に向かう態度を客観的な視点で自己評価し、モチベーションを高めて次の目標につなげてほしいと思います。
12 月は僧侶が忙しく走り回る月であったことから、師走と言います。僧侶でなくても、私たちにとっても忙しく慌ただしく過ぎる季節です。年が明けても「一月往ぬる二月逃げる三月去る」と言って、これから春を迎えるまではあっという間に過ぎてしまいますので、一刻一刻を大切に過ごさなければなりません。
イギリスの詩人シェリーの詩に「If Winter comes, can Spring be far behind?」とあります。「寒い冬が来たということは、暖かい春がもうすぐそこまで来ている」という意味ですが、「冬来りなば春遠からじ」と訳したのが『海潮音』で知られる上田敏だと言われています。単に季節の移ろいを表すものではなく、つらい時期を耐え抜けば必ずいい時期がくるということで、受験生への励ましの言葉として使われています。
勉強がつらいと感じる多くは、インプットの場面ではないでしょうか。インプット代代表が暗記です。英単語を覚える、年号を覚える、公式を覚える、など多くの人は苦労した経験があるでしょう。しかし、教師になって子どもたちに教えると、学生時代よりはるかに理解が進み、いつまでも忘れずに定着するものです。これはアウトプットの効果です。協働的な学びが注目されているのは、アウトプットの学びだからです。他者と協働しながら、お互いを尊重し合い、必要な資質・能力を伸ばす学びです。
『ドラゴン桜』のモデルで著作家の西岡壱誠氏は「例えば映画を見ていても、誰かに、見終わった後に良い映画だったとどのように紹介しようかと考えながら見ると、集中力が高まったり視点が変わったりする。勉強もそれと一緒」とアウトプットの重要性を説いています。
インプットとアウトプットをバランスよく繰り返す「アクティブリコール」については、以前述べたところです。学習の成果が思うように出なくて悩んでいる人にとって、勉強のやり方のヒントになれば幸いです。
令和7年 11 月 27 日(木) 金光八尾中学校高等学校 校長 松井 祥一