校長室の小窓から㉒
迷った時は元気が出る方へ
今年度もあとわずかとなりました。28 日は高校卒業式。高校3年生の諸君は、新たな一歩を踏み出す日としての心構えを持って式に臨んで下さい。私が高校を卒業する頃、ドラマ『3 年 B 組金八先生』の主題歌「贈る言葉」がヒットしていたのを覚えています。中高生の皆さんは、この歌を知っていますか。奇しくも生
徒たちが金光八尾を「金八(こんぱち)」と親しみを込めて呼んでいるのを聞くと、金八先生と重ねてしまいます。
二月はオリンピックで盛り上がりました。今回のテレビ中継ではスキージャンプ、スピードスケート、スノーボードなど多くの種目で迫力やスピード感、臨場感がこれまで以上に伝わってきました。ドローンカメラ本格導入のお陰だそうです。狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、五番目の社会をソサエティ 5.0 と言います。仮想と現実を高度に融合させる社会です。例えばロボットや自動運転、ドローンによる物流などの技術を活用することで人の可能性を広げ、すべての人々が活き活きと活躍できることをめざしています。
しかし、AI、IoT、クラウドなどのデジタル技術が進歩しても、私たちの知力や体力、対人力など、いわば生きる力が向上するわけではありません。ロングセラーとなったエッセイ『14 歳からの哲学』(池田晶子著)には「便利は不便」とあります。これを読むと技術の進歩で折角節約できた時間を、あくせく使っている自分に気づきます。生きる力の無さが露呈してしまっている自身を反省しなければなりません。
卒業する皆さんへ、時には焦りやストレスから解放された穏やかで余裕のある時間が必要です。スマホに届くメッセージや通知が気になって仕方がないのはもう危険信号だと言えます。オリンピック選手にさえ誹謗中傷のメッセージが届く時代です。つまらない声に惑わされることもあるかもしれません。その上、人生は分岐点の連続です。迷いの中でも決断が必要な時、私はこの言葉を思い出します。
「迷った時は元気が出る方を選ぶ」
暮れなずむ町の、光と影の中。去りゆくあなたへ、贈る言葉です。
令和 8 年2月 24 日(火) 金光八尾中学校高等学校 校長 松井 祥一